ドイツの太陽光発電業界が需要減少、倒産、人員削減に苦しむ
ドイツの太陽光発電業界は「大変な困難に直面している」と、先週の『フィナンシャル・タイムズ』の報告で指摘されている。
消費者需要の減少により、ヨーロッパ最大の屋根置き太陽光市場で倒産や人員削減が起きている。多くの設置・流通企業が倒産したり、買収されたり、戦略を変更せざるを得なくなっている。
パネルの過剰供給により価格が消費者にとって下がっているが、業界リーダーは、投資家を阻害し、ヨーロッパの気候目標にとって重要な分野を危険にさらしていると警告している。
業界団体SolarPower Europeの副最高経営責任者のDries Ackeは「ある程度の再編は避けられない。赤字では緑の移行はできない。この業界は収益性を確保する必要がある」と述べた。
ドイツの太陽光パネル需要は2022年のウクライナ侵攻後に急増し、エネルギーコストの高騰を背景に、メーカーは急速に拡大した。2023年の設置容量は15GWと欧州記録を更新したが、2024年は商業用や太陽光発電所の伸びがあったものの、住宅需要の減少により16GWにとどまった。
この減速は、2030年までに年間19GWの設置が必要な、2045年までのカーボンニュートラル目標の達成を脅かしている。
太陽光市場の減速は、ベルギーやオランダでも見られ、金利上昇による資金調達コストの増加と、安価な中国製パネルの氾濫による激しい競争が要因となっている。メイヤー・バーガーなどのヨーロッパメーカーは人員削減や収益性の低下に直面している一方、補助金も削減されている。
スタートアップのZolarは、エネルギー価格の下落により太陽光の魅力が減少したため、直接販売から撤退し、従業員の半数以上を削減した。同社CEOのJamie Heywoodは、設置コストの低下にもかかわらず、金銭的なインセンティブが減少していると指摘した。
Zolarは小規模な地域設置業者をサポートする方向に転換している。ドイツの太陽光市場は中小企業が主導している。
ドイツの太陽光業界は、Eigensonne社の倒産やESS Kempfle社の再編など、コスト上昇と需要減少に直面している。大手のEnpalやKomma5は、ヒートポンプやスマートメーターへの進出、エネルギー最適化やバッテリー開発に注力するなど、対応を図っている。
厳しい市場にもかかわらず、バルコニー用太陽光システムは人気が高く、業界関係者は長期的な成長の可能性を見込んでいる。未活用の屋根が数百万件あるためだ。
専門家は2030年までの緩やかな回復を予想するが、短期的な業界の混乱が続くと警告している。